NODA MAP 『キル』

三度目のキル。今回はついにテムジン(主人公)役が堤から妻夫木に替わって、野田秀樹以外は総入れ替え。

とにかく本がいい。だから多少何をやってもゆるがない作品なんだなぁと感じた。今回、わりと全体的に軽かったのだ。間の取り方とか、声のトーンだとか。初回のキルは今思えば重々しくて、いかにも壮大な話をやっているという空気が流れていた。その流れにどっぷり浸って感動したのだけど、今回はもうこの本ならそこまでしなくても大丈夫なんだなと気付いた。それはたぶん野田さんの意識も関係してるだろう。なにしろキルの初演は留学からの帰国後第一作目だから、力も入っていたはず。

主人公役の妻夫木くんを筆頭にフレッシュでみずみずしい味わいの『キル』。少年らしさの残るテムジン(妻夫木)、超えられない壁というよりももっと近い存在に感じる小林勝也さんの"父"。結髪(勝村政信)も人形(高田聖子)もどこか幼さの残る感じ、テムジンに少し甘いというか。今までのもう少し大人っぽい『キル』も好きだったけど、今回のもよかったな。

ただ、シルク役の広末の声が…不自然に甲高く(裏声で話してる?)、一本調子で感情が汲み取れず、シルクという役の印象が薄くなってしまって残念だった。妻夫木も声がつぶれていて一本調子だったけど、力だけて馬鹿男な(そこが可愛い)テムジンの役にはそれも合っていた。舞台は、声が命だなぁと改めて思った次第。

JJ役の村岡さんの声がとても素敵だった。特に後半、兵士役になってからは物語を方向付けるような重要な台詞を多く任されていたように思う。

野田地図(NODA MAP) 第13回公演『キル』
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by marinji | 2008-01-13 14:00 | 芝居の日  

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