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Remix/THE 琳派/幻想絶佳/チームラボ/原点回帰/花と鳥の万華鏡/仁阿弥道八/ナショナル・ギャラリー

2015年2月に見た美術展等。

「今月は見すぎたな」と感じていたんですが、こうやって並べてみるとそうでもない気がしました。自分の適量はどれぐらいだろう。


Remix !! new works×collection (2015/1/13-2/7、不忍画廊)

展示は、不忍画廊さんの趣味というか、全体像みたいなものが見えた気がしました。山田純嗣さんの作品が目当てでしたが、高松次郎さんの作品(版画)もあったり、他の人の作品もそれぞれ興味深かったです。

それにしても危なかった!山田純嗣さんの作品を買いそうになりました。買わされそうになったんじゃなく、衝動買いで。素敵な作品だったし、サイズもちょうどよかったし、値段も出せる額だったし…(一桁勘違いしてるような気もして怖いんだけど)、当然他の人に買われてしまえばもう買えなくなるのだし。今でもまだ気にはなっていて、欲しいのは確かなんだけど、うちには一枚か二枚ぐらいしか置けないからなあと思うと。買うなら買うでもう少し作品を吟味したいとも思いますし。何より、心の準備が。この時の作品はもう無いだろうけど、そのうち何か買うような気はしてます。悩んでるうちに買えない額になる気がするから気をつけないとねー。

>>> 不忍画廊
>>> Junji Yamada
>>> Park Hotel Tokyo Artist Room no.12「山水」山田純嗣 ←2015年3月に完成!泊まりたい!



THE 琳派 -極めつきの畠山コレクション- (2015/1/17-3/15、畠山記念館)

琳派400年ってことで、琳派関連のものは片っ端から見てやろうと思ってまして(近場なら)。昨年末の古画降臨から、岡田美術館所蔵 琳派名品展と来て、これです。畠山記念館、気になってはいたんだけど茶道具中心なので今までは来たことがなく、今回が初。軽く道に迷いましたが、五反田から徒歩10分なら行きやすいなー。勝手にもっと遠いと思って敬遠してました。

広い庭園にまずびっくり。さらに記念館の建物の中に茶室が。畳に座って作品を見るスペースがあるのはいいですね!贅沢な体験。展示替えの多い企画展でしたが、私が行ったのは2/7で、中期といったところでしょうか。酒井抱一「風神雷神図」、鈴木其一「向日葵図」、本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘 李白」などがありました。あと、全期間展示の本阿弥光悦「赤楽茶碗 銘 雪峯」、尾形乾山作品など。”岡田美術館所蔵 琳派名品展”でも思ったけど、尾形乾山いいなぁ。好み。焼き物はもちろん、絵がやっぱり好き。絵(書画)として名作・大作っていうのは兄の光琳の方だけど、乾山のはそばに置いておきたい感じ。

展示替え後にまた行こうと思ってたんですが、行きそびれました。無念。

>>> 畠山記念館



幻想絶佳:アール・デコと古典主義 (2015/1/17-4/7、東京都庭園美術館)

幻のロシアの絵本1920-1930年代展』以来。また行きたいなーと思った時には休館していました。昨年末にやっとリニューアルオープンして、今回やっと再訪。

ここはやっぱり建物(旧朝香宮邸)がいい。その紹介のような展示でした。この部屋に飾るならこういう作品かなっていう展示。そしてその作品を見ているうちに元々の部屋の装飾にも目が向かいます。壁紙や照明や絨毯や天井や家具や……はー、うっとり。うっとりです。

そして新館のギャラリー。こちらは何も無い真っ白な部屋で、いかにも展示室!なムード。現代アートもいけそうです。で、今回展示されてた作品たちが…なんというか。どれもこれも一風変わってて、くどい。いや、くどいって言い方悪いけど。特に今回チラシにも使用されているウジェーヌ・ロベール・プゲオン「蛇」。ぱっと見、色が鮮やかで華やかで幻想的なんだけど。じっと見て行くと、黒い服を羽織って振り返ってる人の顔が妙に怖いし、中央の女性も足の色味は妙に暗いし、後ろの女性も変なポーズだし、馬も白く輝いて綺麗なんだけど躍動感ありすぎっつーか肉々しいっつーか。とにかく目が離せない、けど目を逸らしたくもなる、不思議な感情を抱く作品でした。機会があれば他の作品も見てみたいです。

二展見たような感覚でした。面白かった。男女ペアで見に来てる人が多かった気がします。デートコースなのかな。

>>> 東京都庭園美術館



チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地 (2014/11/29-2015/5/10、日本科学未来館)

板野サーカス!!(声に出して読みたい日本語)

「追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点 -Light in Dark」という映像作品の、一羽のカラスがひゅーっと駆け抜けてその後ろから何羽ものカラスが追いかけて縦横無尽に宙を舞うさま、それを同じ高速スピードで追うという視点からのカメラワーク。一羽目のカラスは戦闘機、追いかけるはミサイル群か敵の戦闘機か…そう置き換えると確かに私はこれを知ってる。作品の説明を読むと”板野サーカス”へのオマージュだと。私はこの言葉を知らなかったんだけど、それでもこの表現は知っていて、そのことに驚かされました。西洋画でいう遠近法のように、これもまた、空間の表現手法だったんだな。この作品、とにかく好きで見続けて気持ち悪くなりました。(見過ぎ)

目当てだった「Nirvana」もよかったなー。伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」「樹花鳥獣図屏風」をモチーフにしたデジタルアート。動物が動く、というだけでもびっくりなのだけど、一面金色の世界から、徐々に姿を現して色を得て行く姿がなんともいえず感動的だった。魂を得ていくかのようで。そしてまた金色の世界に消えて、溶け込んでいく。洛中洛外図みたいなのもよかった(「花と屍 剥落 十二幅対」)。踊りながら崩れていくのか。字を触るやつは、デジタルなのに温かみがあって、その発想が素敵だ(「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」)。

後半の『学ぶ!未来の遊園地』パートも楽しかった。子供いっぱい!みんな楽しそうだったなー。3/1までだったのが5/10までに延長されたのも納得。

>>> 日本科学未来館
>>> YouTube : TEAMLABNET [動画]



山本基展 原点回帰 (2015/1/30-3/1、POLA MUSEUM ANNEX)

チラシで見て気になっていて、場所を確認してみたら行きやすい場所だったので行ってみました(銀座一丁目駅七番出口すぐ!)。会場は仕切り無しの一部屋のみで、その床に白い線のみでレースの柄のような潮の渦のような模様が。しゃがんで少し近づいてじーっと見てみると、白い線は細かい粒々。塩です。先に知ってはいたけれど、見てみて純粋に驚きました。

写真撮影OKなんですが、画面上で全体から部分を切り取って見ていくとまた様々な表情が見えてきます。それからまた全体で見ても表情が変わる。面白い。これの前の二展が濃くて飽和状態だったんですが、これを見ているうちに頭の中が整理されていきました。海みたい…なのかな。いや、でも違うかな。

窓から自然光が入るようになっていたので、どう変わるのか気になって夜にも行きました。窓の外のネオン(電飾)がくるくると変わって、キラキラに。夜は暗く落ち着くのかと思っていたけど、違うのね。そしてやっぱり潮のようであり、台風の雲のようでもある。床に座ってお酒が飲めたらいいのにと思った。飲みながら静かに眺めたい。しみじみと。塩をおつまみにしたいわけじゃなくてね!

>>> POLA MUSEUM ANNEX
>>> MOTOI YAMAMOTO



花と鳥の万華鏡 -春草・御舟の花、栖鳳・松篁の鳥- (2015/2/11-4/12、山種美術館)

上村松篁作品が目当てで行きました。一年前が『百花繚乱』だったので、被ってる作品もけっこうありました。鈴木其一「四季花鳥図」、荒木十畝「四季花鳥」など、また見たかったので嬉しい!速水御舟の写生帖もよかったな。ささっと描いた感じの薔薇が綺麗だったなぁ。川端龍子の「牡丹」は生きてるみたいなざわざわ感。

鳥は、竹内栖鳳はやっぱりうまいなーと思う。あのリアルに肌触りを想像できる感じ。上村松篁の鳥はリアルではないんだけど、それでもそこにいる感じがして、ずーっと眺めていたくなる。大作の「白孔雀」もよかったけど、「竹雪」がよかったな!竹の葉に積もった雪、その奥にいる鳥。雪の中の鳥の、その寒さにうずくまる感じと、でもたっぷりした羽でそこまで寒くはないのかなっていう感じと。好きだなー。雪の中の鳥っていうシチュエーションが好きなのかも。

恒例の和菓子は、富貴草と春の予感をいただきました。富貴草、白い花(お菓子)なんだけど、中から鮮やかで爽やかな緑色の柚子餡が出てきてびっくり!

>>> 山種美術館



天才陶工 仁阿弥道八 (2014/12/20-2015/3/1、サントリー美術館)

年末にささっと見たんだんだけど、あまり強い印象が残らなかったのでもう一回。こういう時に年パスは便利。改めて、うまい人ですね。そうそう、今まで仁阿弥道八の作品は見たことが無いと思っていたけど、「黒楽鶴亀文茶碗」を見て思い出しました。東博で見てなんかいいなって思っていた茶碗。そうかー、これの人だったか。

>>> サントリー美術館



【映画】 ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 (2015/1/17-3/6、Bunkamura ル・シネマ)

映画ですが美術絡みということでここに感想を。

映画としての明確なストーリーは無く、またナレーションも無いドキュメンタリー。睡眠不足な状態で見てしまったこともあって、淡々とした展開に眠くなってしまいましたが…それでも面白かったです。日々を覗き見る感じで。ギャラリー・トーク、多いんですねぇ。床に座って聞く感じ、外国っぽい!そのトークのひとつひとつが面白かった。あと、予算の心配があるんだなーというのが意外だった。入場料無料なのは知ってるけど、寄付金の箱もあるしショップでも売り上げもあるだろうし企画展は有料だろうし。というか、無料にできるぐらい十分国からお金が出てるもんだと思ってたので。それからレオナルド・ダ・ヴィンチ展に行列ができてたのも驚いた。だって、持ってるじゃない。常設で展示されてるじゃない。もちろん他の作品も借りてきての企画展だということは分かるけど。それに、パリ(ルーヴル)だって近いじゃない。それでも並ぶのね。

とにかく、これという一つの筋があるわけではなくて、ナショナル・ギャラリーの毎日を、舞台裏も舞台上もあわせて見ることができるという興味深い作品でした。

>>> Bunkamura ル・シネマ
>>> 映画『ナショナルギャラリー 英国の至宝』オフィシャルサイト
  

by marinji | 2015-04-05 19:41 | 美術展・博物展のはなし  

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