2016年4月に見た美術展等。今年は日伊国交樹立150周年記念の企画展がいっぱいあったけど、ジョルジョ・モランディが一番好きかも。
ジョルジョ・モランディ ―終わりなき変奏 (2016/2/20-4/10、東京ステーションギャラリー)
イタリアの近現代の画家。ポスターに載ってる作品のバリエーション違いのような作品がずらっと続くのだけど、これが不思議と飽きなくて、いいなあと思えてくる。逆にどこかの美術館の常設展示の中に一枚だけあったら私はこれをいいと思えるかしら、と考えたりもする。まとめて展示してくれたことに感謝。見てるうちにいつのまにか好きになっちゃう。日伊国交樹立150周年記念。
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東京ステーションギャラリー
ファンタスティック 江戸絵画の夢と空想 (2016/3/12-5/8、府中市美術館)
前期終了前に駆け込み。恒例の春の江戸絵画祭り、今年はファンタスティックってちょっと雑じゃありませんかね、と思ってたけど、様々なファンタスティックの解釈が面白く。これは後期も行かねばと思ったのでした。
いわゆる画家の作品だけでなく、仙台三代目藩主が描いたものなんかもあって、相変わらずラインナップが面白い。練馬区美術館とBunkamuraで取り上げられてる国芳の作品も数点ありました。
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府中市美術館
博物館でお花見を (2016/3/15-4/10、東京国立博物館)
桜があしらわれたり描かれたりしている作品が展示されます。庭園開放もあって本物の桜も。
桜の時期で、天気もよくて、ということで子供連れや老夫婦や外国人観光客が多く、みんなそれぞれに好きなものを楽しんでいる感じですごくよかった。にぎやかなんだけどガツガツしてなくて。そして刀と甲冑は人気。
古田織部作の茶杓が展示されていて驚きました。織部焼の展示はよく見るけど、本人作の作品はあまり見掛けないので。さらに別の部屋には書状も。そしてその近くには本阿弥光悦のと俵屋宗逹の書状も。花の季節だけど琳派の作品が無いなと思ったら、書のコーナーにいるなんて!にくいわ。
縄文の女神の展示もうっとりでした。
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東京国立博物館
PARIS オートクチュール ―世界に一つだけの服 (2016/3/4-5/22、三菱一号館美術館)
デザインや素材の移り変わりも面白かったけど、特定の誰かのために作られたドレスたちの持ち主を想像するのがまた楽しかった。サイズもそれぞれ全然違って、背が高いなーとかウエスト細!!とか逆にお腹まわりカバーしてるな~とか。いろいろな角度からどう見えるかっていう楽しみもありました。背中がバーンと開いてたり。
ブランドの相関図も面白かったな。作品の紹介にも、〇〇が△△にいた時の作品、みたいな記述があったりして。
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三菱一号館美術館
藝大コレクション展 -春の名品選- (2016/4/2-5/8、東京藝術大学大学美術館)
東博・黒田清輝展のコピーが「教科書で見た。でも、それだけじゃない。」ですけど、それを言うなら断然高橋由一の鮭だと思うんです!(それか岸田劉生の麗子像) というわけで見てみたかった藝大所蔵の鮭を見てきました。いやー、いい。鮭、いい。油彩を学んで描くのが鮭ってなぜなんだ。そしてじわっと、鮭の皮や身のねっとりとした質感が迫ってきて、とりあえず酒でも飲みたくなってしまった。青木繁の自画像もまた味わい深くて、向かい合って飲みたくなるわけです。
看板に使われている有元利夫「私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ」がなんとも不思議で好きになってしまいました。有元利夫さん、調べてみよう。
展示スペースは地下の一室のみでしたが430円だしなかなか面白かったです。ちなみに東博・黒田清輝展には行ってない。
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東京藝術大学大学美術館
【アフガニスタン特別企画展】 素心 バーミヤン大仏天井壁画 ~流出文化財とともに~(2016/4/2-6/9、東京藝術大学大学美術館・陳列館)
この展示のことは知らなくて、藝大コレクションのついでに何かやってるみたいだから無料だし見てみるか…ぐらいの気持ちだったんです。が、天井画の原寸大3D復元は圧巻でした。しかもそれがあの大仏の頭の上の天井画なんですと。ということは自分は今、大仏の頭の上に立っているようなもの?右、左、上には復元された壁画。正面に広がるのは、アフガニスタンの風景(数ヵ月前に撮影された映像とのこと)。大仏の上に立ったら、こんな風なのか…と思ったらうわーーーっとなりました。あのバーミヤンの大仏、現存していたとしても登りにいく機会なんてあったかどうか。まして爆破された今となっては…ということで、貴重な体験でした。
アフガニスタンから海外へ流出した文化財、藝大の学長だった平山郁夫さんが働きかけて保護・保管していたのだそうです。それらの一部は藝大で修復されていて、アフガニスタンへ返還することが決定されたとのこと。すごいな。
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東京藝術大学大学美術館
黄金のアフガニスタン ~守りぬかれたシルクロードの秘宝~(2016/4/12-6/19、東京国立博物館・表慶館)
これはもう!金の装飾品の数々が本当にかわいくて萌え萌えキュンキュンでした。展示・解説も丁寧で見応えあり。紛争から文化財を守った博物館員の話もすごいけど、ティリヤ・テぺに埋葬されていた金の装飾の数々がかわいくてかわいくて。ドラマが無くても、純粋に胸キュンなのでした。でもこうやって見ることができるのはきっと、博物館員の人たちが命がけで守ってくれたからなんだろうな。
意外に混んでました。本館の所蔵品展示には上村松園の「焔」が。大好きです。
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東京国立博物館
生誕300年記念 若冲展 (2016/4/22-5/24、東京都美術館)
初日の金曜日夜間展示で行きました。運良く入場待ちは無し!でも中は人でいっぱい。グッズショップは購入まで一時間待ちとか(図録だけは別の階でほぼ並ばずに買えた)。すごい人気ですね。期間が一ヶ月だけっていうのが大きいのかな。
人は多かったけど、大きい作品が多かったので「人の頭ばかりで何も見えなかった」っていうことはなく、そこそこちゃんと見ることができました。作品名も高い位置に記載されてたので分かりやすかったし。混雑を想定して工夫された展示だと思います。そういえば、作品解説が無かったような。読み込み渋滞防止?
バリエーション豊かに作品が集められていて、とにかく面白かった。特に動植綵絵が全部集められた部屋はすごい。まさか一度に全部見ることができるとは思わなかった。そしてプライスコレクションもあり、お寺の襖絵もあり、MIHO所蔵の鯨と白象の屏風あり、京博所蔵の野菜の涅槃図もあり(後期のみ)。代表作はほとんど全部出てるような。
いろいろ見た結果、自分は黒と白のみの版画が一番好きでした。デザインがパキッとしてていい。描かれてるのが野菜だったりするのがまた好き。
もう一回見たかったけど、この後3時間待ちとか4時間待ちとか言われるようになってしまったので、あきらめました。
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東京都美術館
歌をまとう絵の系譜 国宝燕子花図屏風 (2016/4/13-5/15、根津美術館)
毎年、庭のカキツバタが咲く頃に燕子花図屏風を展示する企画展。一年前が超豪華だったこともあって今年は少し地味に見えるラインナップでしたが、改めて歌・物語を背景とした作品であるという点から燕子花図屏風を味わうのが新鮮でした。
庭は藤が満開。応挙の藤の屏風もまた見たいな。カキツバタはぼちぼちでした。
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根津美術館
*写真は東京国立博物館の庭園。普段は入れないんですが、お花見期間は入ることができます。
*今年内に全部投稿したかったけど、無理そう。