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『エドモンド』

台風で大雨が続いていますが、皆さん大丈夫でしょうか。私は会社の「今日は台風のため早く帰ってもいいぞよ」とのお達しに、「それでは遠慮なく」と会社を出て、いそいそと青山円形劇場(渋谷)へ行ってまいりました。

観たのは『エドモンド』。主演:八嶋智人、作:David Mamet、演出:長塚圭史。面白そうな役者さんたちがいろいろ出てますが、個人的には、お久しぶりの明星真由美さんが楽しみ(数年前、最近舞台に出てないなーと思っていたら氣志團のマネージャーになっていた人)。八嶋さんをナマで観るのも初めてだし、いっぱい笑わせてくれそうだ♪

......と思っていたら。

シリアスでありました。

(笑いが)いつ来るか、いつ来るか、と心待ちにしているうちに、物語の波に乗り損ねてしまい、気がつけば終わっていて、個人的に超不完全燃焼です。あああ。もったいないことした。

話は、八嶋さん演じるエドモンドが占い師と話しているシーンから始まります。舞台設定はアメリカ。といっても、青山円形劇場はその名の通り円形で、ステージのまわりを360度ぐるっと観客席が囲っている為に大掛かりな舞台装置は置けず、それならばいっそのこと、という感じでセット無し。中心のステージの上に、ぽつりと二人。エドモンドと、占い師。

占い師は言う。「あなたは今、居るべき場所にいない」

この言葉に、自分には退屈な現状ではなくもっと良い世界(人生)があるのだと思い込んだエドモンドは、より良い"場所"、自分を認めてくれる人、とりあえず気分良くなる為には女、等々を求めていくのだけれど、そううまく行くわけも無く。気がつけば最悪の状況に......。

エドモンドは最初から最後までほぼずっと出ずっぱり。照明や小道具のちょっとした変化で場面がくるくると変わり(これ見事でした!)、場面ごとに他の役者たちが一人複数役で入れ替わり立ち代わり登場してはエドモンドに絡んでいく。その度にエドモンドの状況は悪くなっていく。意気揚々としていたエドモンドが、次第に焦り始め、憔悴し、絶望に落ちていく姿はすごい。芝居だと分かっていても胃がキリキリと痛みそう。TVではほのぼのキャラな八嶋さん、熱演でした。(ちなみにメガネ無し)

他の役もそれぞれよかったですが、私的ヒットは平岩紙さん。ショー・ガール、売春婦とお色気ムンムンな役所でしたが、キュートでありかつどこかちょっと不思議?で、「あー、こういう子いる!いそう!」ってな女の子を小悪魔的に演じていました。書記の役での地味っぷりとのギャップもいい。

久しぶりの明星さんは、いい声だなぁと思いました。あと立ち姿に迫力あって素敵。

エドモンドは、「居るべき場所にいない」と言われて、もっと良い場所がある!と思ったわけだけど、占い師は良い・悪いは口にしていない。結局最後に居た場所が「居るべき場所」なのかしら。占い師の言葉を、「幸運にも、居るべき悪い場所に居ないで済んでいる」と解釈して今の状況を幸せだと思えればよかったのかな。ところでエドモンドはなぜ占い師のところに行ったんだろう?何があったのか、気になるところです。

『エドモンド』公式サイト
 

by marinji | 2005-08-26 00:09 | 芝居の日  

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